明治45年(1911年)8月5日、東京医科大学付属病院で出生。 船員だった父の転勤のため、姫路・神戸・高知間で移転を繰返しながら少年時代を過ごす。東大在学中から同人誌「日暦」「人民文庫」に参加。新聞社社員、教師などをしながら小説修業を続ける。 47「霧の中」が優れた歴史小説として注目され、「物語の中」「落城」「末期の水」「菊の寿命」等を発表。太平洋戦争中の〈暗い谷間〉時代に取材した自伝的作品「菊坂」「絵本」「足慴岬」等の佳作を書き、 51「絵本」で毎日出版文化賞を受けた。庶民的ヒューマニズム・正義感と、清らかな詩情の漂う作風の私小説で才能を示した。他の作品に「幼女の声」50、「朝鮮折惘」51、「異端の子」「ある女の生涯」52、亡き妻との書簡集をまとめた「愛のかたみ」などがある。 脳梗塞で倒れ、右半身不随となった63年4月9日77歳の生涯を閉じた。 |
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